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2013.07.17。
小雨の降る水曜18:30の東京有楽町。

日本ビアジャーナリスト協会(Japan Beer Journalists Association)という団体が主催するトークイベントが行われるということで、お邪魔してきました。

JBJA・facebookオープン1周年記念イベントとして掲げられた今回のテーマは

「日本のクラフトビールは世界に通用するのか?」

なんとも壮大なスケールのタイトルですが、会場もまた「外国人記者クラブ」と、おいそれと足を踏み入れることのない場所。
滅多に無い経験に、少し身を固くして会場へと向かいます。


今回のイベントは、トーク形式。
絢爛なテーマにふさわしいパネラーが招かれました。

■朝霧重治氏:株式会社協同商事 コエドブルワリー代表取締役社長
■木内敏之氏:木内酒造合資会社(常陸野ネスト) 取締役

そして聞き手、進行役として

■藤原ヒロユキ氏:日本ビアジャーナリスト協会(JBJA)会長兼ビアジャーナリストアカデミー(BJA)学長、ビアジャーナリスト

以上、日本クラフトビール界を代表する3名の重鎮。



受付と共に配られたウェルカムドリンク(COEDO伽羅常陸野ネストホワイトエールのどちらかを選択)の影響もあり、200人のオーディエンスで埋め尽くされた会場は基本和やかムード。
しかし、クラフトビールに関心のある方々の聞き耳により、程よい緊張感に包まれ進行しました。




「海外に通用するのか?」のテーマをベースにトークは進みますが、まず明確に理解すべきは「両社共に早い段階から海外展開を視野に入れていた」ということ。
木内酒造は日本酒づくり、コエドは農業というベースがあった上でのビール事業であり、海外展開は企業戦略であるという基本スタンスがあることでした。

いわゆる地ビール解禁が1994年。
地ビールブームが下火になった「日本マイクロブルワリー負の時代」の最低年が数字ベースで2003年(トーク内より)であるのに対し、木内酒造の海外展開は1998年というから、いかに早い段階で海外展開を視野に入れていたのかが伺えます。

ボクの中で、クラフトビールには「職人気質のマイクロブルワリー」というイメージがあり、どこか商売っ気が薄いものだと勝手な想像をしていただけに少し面食らってしまいました。

常陸野ネスト「だいだいエール



海外展開戦略が後付けでない理由として、創業当初から変わらない両社のラベルデザインがあります。
ホームページの商品紹介を見てもわかる通り、両社ともに「日本人だけに向けたデザイン」をしていないことが見て取れるでしょう。

代表的なのは、メインデザインに日本語が使われていない点。
日本酒ならば武器にもなる日本語表記(漢字は刺青などにも人気ですよね)ですが、ビールというカテゴリーにおいては違和感を生みかねないのでしょう。
この辺はデザインもですが、市場動向においても微妙なさじ加減が必要となりますが、現状でうまく展開の後押しになっているようです。




さて、今回のテーマである「日本のクラフトビールは世界に通用するのか?」ですが、結論から言えば「通用する」で間違いないでしょう。
少なくともこの二社は「通用(国際コンペティション入賞・海外展開)している」のですから。

むしろ今回のトークセッションは、「世界に認められるには何が必要か?」に時間が割かれ、「広告・イメージ戦略」「早急に日本のクラフトビール教育の地盤づくりが必須」「料理とのマリアージュ、店舗展開について」など幅広い観点から語られました。

中でもアツく語られていたのは「アイデンティティのあるビールづくり」。
私たちの日常でもいろいろな場面で語られる「日本人にはオリジナリティがない」という表現。
今回のトークでも「日本のビールづくりは諸外国のマネばかり」「諸外国の流行を周回遅れで追っている」といったニュアンスで語られ、その打開策として「日本独自の原材料を使うこと」「独自の発想に起因する製法での調合」「模倣をベースに独自改良すること」など多くの意見が提案され、改めて日本のクラフトビール業界の問題点を知ることができました。



「これが日本独自のビールです!といえる逸品をつくることが、世界に通用するということである」という意見が終始強く語られ、日本のクラフトビールにおけるひとつの指針となったのではないでしょうか。

最初は定員100名の予定だった今回のイベント。facebookを中心とした告知にも関わらず、増枠200名でも予約漏れがあったと聞きます。
主催者の意図に反し、この程度の規模ならば軽々と埋め尽くす情熱を持ったファンに恵まれた土壌こそ、世界に通用する可能性の種なのかもしれません。






【蛇足雑感】
「日本人が世界と戦う為に必要なこと」というテーマは各分野で行われていますので、テレビ等で触れる機会も多く、その都度いろいろと考えさせられます。
クラフトビール業界でも、本文中でも語ったような「日本人特有の問題点」というのは共通して存在する問題みたいですね。

トークの中で「英語ができないから海外とやり取り・取り引きしたくない、という同業者も多い。」といったお話がありましたが、この部分のメンタリティは日本人のウィークポイントでしょう。
諸外国に対する引け目、というのでしょうか。謙虚さという表現で隠れ蓑にしてしまう場面も多く、どうにも内弁慶であるように感じます。

ボクに言わせれば「物事に立ち向かうメンタリティの甘さ」これが問題の根本だと考えています。
海外とのやり取りの例でいえば、言語や能力の不足はコミュニュケーション後の問題であるにも関わらず、それらを言い訳に「人と人同士のコミュニュケーションの舞台に立とうとしない」ということ。
言い換えれば「ビビるな、とりあえずやってみろ。」ってことでもあるんですが。

「個性のあるクラフトビール」を造るにしても、自我の独立、第一に人の顔色を伺わないメンタリティ(傲慢さではなく)を払拭した先に見えてくるものなのかもしれないなー、と改めて感じたイベントでした。





【番外編:びーるのみT。】
このトークセッションの後には、パネラー、オーディエンスを交えた懇親会が催されました。
今回ボクは先日blogにもあげた「びーるのみT。」を着用していたのですが、想像以上に好評をいただきホルホルしてました。

やはり売り出すか…w
随時欲しいという奇特な方twitter等で募集しておりますw

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