instagram

今回は2014年3月9日(日)に両国ポパイで行われたビアトークイベント『昼からビアトーク!!!』を観覧してきましたので、そのリポートをお送りします。

《第一部レポートはこちら》
《第二部レポートはこちら》



今回のイベントはTHE TRANSPORTERさん主催のもので、
お客さんはビールを飲みながらビアスタイルの定義からブリュワーさんからの視点やビアパブさんの視点、インポーターさんの視点や飲み手のお客さんによる視点など沢山のビアトークを聞けます!お題はまだシークレットですが聞くほうのブリュワーさんから飲み手まで楽しめるお題を用意!それに議論する各セレクションの出演者の声が生で聞ける事、そう無いと思います!

という趣旨のもの。





日本のクラフトビール業界のトップランナー達のクロストークが聞ける、またとないイベント。

第三部のテーマは、「ビアバブトーク」。


※第四部のお話は、第三部とリンクする部分が多いと感じたので、同項目として編集しました。
ビアパブブームの中にある「向上心」という名の課題。

最初のお題は「ビアパブ(クラフトビール)は流行っているのか?」。

パネラーのオーナー・店長視点から見ても「流行っている」という印象があり、各店の共通認識として「幅広い年代に支持されつつある」と感じているようだったが、同時に“ブームであるが故”の、気軽な出店を危惧する発言も多々みられた。

「2013年の新店舗開店は、全国で70店舗以上、東京だけで30店舗以上」(トーク内より)との調査もあるように、クラフトビール関連の店舗は増加している。

しかしながら「(修行などせず)ビールの味を知らないまま、ビールを注ぐ側に回るのは怖い」という意見もあるように、クラフトビールを文化として普及させるにもお店側の専門家化が必須であることを強く訴えていた。

「15Lの樽で、250mlのグラスに15杯(=2.75L分)しか取れずに他は泡となって消えた。」といった例が紹介されると、「クラフトビールは流行だから入れたというスタンスでは…」と成功を危ぶむ意見や「好きでなければ研究も勉強もしない」などの声もあがり、経営的に成功する為にも日々の努力・研究が欠かせないことを伺わせた。

また、「アメリカの場合、クラフトビールの店を経営しようと考えれば、ホームブルーイングからのブルーパブを目指すが、日本はそうではない。つまりアメリカの場合、専門家(ブルワー)が自ら注ぐ環境ができあがる。」といった海外との文化の違いも紹介され、サーブ側のレベル向上も重要視されていた。

ビールを仕入れる時に考えること。

続いては「仕入れたいビールは?」というテーマ。

「品質の高く、味のいいビール」を仕入れるのは大前提であるが、各店舗ごとにそれぞれのポリシーを持って仕入れを行っている様子。

その中でも「バックボーンの見える…ストーリー性のあるビールを置きたい」という意見に共感が得られた。
それは「従業員の故郷のビール」だったり、「ストーリー(製造秘話など)のある商品」。それらが念頭にあれば、注ぐ一杯の思い入れも違ってくるということらしい。

また、思い入れとは別な部分で「経営者ってのは孤独なので、話を聞いてくれる営業さんがいるといつの間にか…」「営業の女の子がかわいいと…つい…」という場の和む意見なども聞くことができた。

限定?定番?お店のラインナップ。

さらに「定番ビール(お店で必ず繫いでいるビール)を置くことの意義」についてトークは進む。

「定番ビールを扱うことは、自信ややりがい、お客さんへの説得力にも繋がる」という意見の一方、「あえて同じ樽を連続開栓することはしない」というお店もあったが「一度入れて美味しいビールはまた入れたくなる」という発言も続き、定番(準レギュラー)を重要視する姿を垣間見ることができた。

また、限定ビールの需要が加熱し過ぎている部分もあるようで、醸造所に発注する際「限定ビールありますか?なければいいです。」のような発注をするお店もあるそうだ。
これは額面通りの発言ではないだろうが、現在のクラフトビールブームを体感されている方々も一概に否定することができないのではないだろうか。

また、定番ビールを置きづらい背景として「缶や瓶で(パッケージ流通として)売っているものは店頭では飲まれない傾向がある」という消費者側の動向もあるらしい。

さらに言えば、タップ数や保管スペースなどの問題ももちろんあるのだろう。
定番を置くと言うことは、同時にタップが埋まることであり、限定ビールを置く機会が減ると言うこと。
ある店では「定番として置きたいビールが増えて、気づいたらタップ数も予定以上に増えていた(笑)」という話にまで広がった。

行きたくなるお店像。

消費者に近い立場の女性パネラーからは、デートなどで利用したいお店として「(タップがずらりと並んでいたりする)雰囲気のあるお店だと嬉しい」「ワイン専門店のような敷居の高さがなく、(気軽さと言う意味で)赤提灯くらいの方がいい」などがあげられ経営者側も関心を示していた。

さらに、飲んだことのないビールが並んでいるお店へのリクエスト的な意見として「(特に女性は)色々な種類を“ちょっとずつ”飲みたいので、飲み比べセットはありがたい」という意見が出るなど幅広い意見交換の場にもなっていた。





《第五部レポートにつづく》

※当記事は当日のトークを元に、筆者独自の解釈を加え再構築・意訳した実質フィクションです。



【蛇足・雑感】
■素人目線では「ビールなんてただ注げばいいだけでしょ?学生のバイトがやってるくらいだし。」みたいに考えがちですが、お店の方にお話を聞く度にテクニック的にも知識的にも職人技だと感じることは多々あります。「液体から自然に出る泡と、わざと立てた泡の味の違い」とか言われると口をつぐむしかありません。ビールも店が変われば味が明らかに違う、という経験をしたことはボクにもありますが、嬉しい方向に感動する機会が増えればいいと思います。
■ビアフェスなどでも「ボランティアの素人が注ぐビールの味は本当の味なのか?」が取り上げられることもありますが、注ぎ手のレベルで味が変わるとしたら、なかなか難しい問題です。
■「限定ビール商法」という言葉は的確ではないと思いますが、定番のビールを置かないお店も相当数あると思いますし、それがビールマニアの心を掴んでいる要因でもあると思います。(特に日本人は限定ものに弱いですし。)限定ビールをよく入れるお店に通っていて「お?またこれ入れたんだ?」という「準レギュラー」的なビールがあることを発見することに喜びを感じてしまうボクも相当イカれてると思いますが。
■市場が限定ビールに注目し、定番ビールを軽視していると仮定すれば、「あの醸造所と言えばあのビール!」という文化が根付きづらいのではないでしょうか?定番の印象が弱くなるのはいい傾向とは思えませんが、同時に「色々なビールを造れること」が技術の礎になりそうだとも思います。そして知らないびーるに出逢ったら注文してしまう消費者でもあって困ったものですし、無限ループにハマった気分にもなります。

■追記ですが、お店側としては「クラフトビールだけのお店は売り上げ的に大変かもしれない。」という感覚も持っているようで、ビールだけを提供するだけでなく、フードメニューなどの他要素も熟考されているそうです。


0 コメント:

コメントを投稿

comment here

AD

amazon

Google AD