日本地ビール協会さん主催の「ビアコーディネイター・セミナー」に参加してきました。
このセミナーは、
「この料理とこのビールは合うかも」といった個人の主観でなく、理論だてて解説し、どんなビール、どんな料理を出されても、合う合わないを明確に説明することが出来る画期的なセミナーです。(「公式>ビアコーディネイター・セミナー」より。)
というもので、講習の内容は、
基礎理論:
日本人の味覚と嗜好の特性、甘味・酸味・塩味・苦味の相互作用(シナジー効果)によるおいしさのメカニズム、生理的に求められる味と情緒的に求められる味などについて解説。
フレーバー理論:
それぞれの食材・調味料が持つフレーバーの特徴、ビアスタイルで異なるフレーバーの特徴、およびその組み合わせでつくりだされる相互作用(シナジー効果)について解説。
実例学習基礎理論:
フレーバー理論の応用により実際の料理とビールを組み合わせて試飲・試食。食材や調理法の違いによりビールの選択を変える方法や、スープとビールの組み合わせ、サラダとビールの組み合わせなど、従来は考えられなかったマリアージュを紹介。
といった感じ。
ま、この説明を読んで理解するもの難しいとは思いますが……(-.-;
当日のタイムスケジュールとしては、
開始の9:30から午前中いっぱい(この日は11:45くらいまで)でスライドを中心とした、上記の「基礎理論」による解説で、「甘味・酸味・塩味・苦味」などに関する個別の解説。(休憩は合間に1回10分ほど。)
例えば、「甘味を引き立てるのに塩味があり〜」「スイカに塩をかけると甘味が増すような〜」みたいな解説。
お昼明けの13:00から15:30くらいまでは、びーるの情報を交えてマリアージュに関する解説でした。
「うま味成分には、こんなタイプのびーるが●●な理由で合うんですよー。例えばこんな料理では〜」みたいな。
その後、15:30〜17:30くらいまでは、実際に約10種の料理と、20種類近い本数のびーるでの実践体験。
そして最後に18:30くらいまで筆記テスト&採点&合格発表って感じでした。
宴会じゃないです。
テキストの内容は、転載禁止な部分があるそうなので、細かい内容はここでは書けませんが、ここからは書ける範囲での雑感など。
今回のテーマとして「マリアージュ」という思想があります。
それは、
日本地ビール協会のビアコーディネィター講習会で教える「ビールと料理のマリアージュ(結婚)」は少し趣を異にします。その目的は、ビールと料理を合わせて「第3のフレーバー」を造り出すこと。それは結婚によって生まれる子供のようなものですから、「ペアリング」ではなく「マリアージュ」と呼びます。
というもの。
それは「シナジー効果」と「メイルガードの法則」という方法論がメインとなるようです。
これらについて具体的な紹介は控えますが、ボクの中では「陰陽五行思想(wikipediaへ)」を思い出しました。
五行思想ってのは、RPGやカードゲームとかでよく使われる「木・火・土・金・水」の属性みたいなもので、「火は木に強いが、水に弱い。」みたいな相互関係のこと。
それを味覚である「甘味・苦味・酸味・塩味・苦味・うま味・辛味」に置き換えた感じです。例えば、「甘味は、塩味によって強化されるが、辛味によって軽減される」みたいな。
また「メイルガードの法則」ってのは、ニュートンの運動の3法則みたいな感じですが、よく使われるのは、「同種味覚タイプ合成で属性力強化(連続服用で効果倍増)」や、「属性味覚スキルは、最後に発動したものが上書きで有効となる。」みたいな感じです。(ボカした書き方&ゲームやらない方、こんな説明でごめんなさいw)
会場は東京・錦糸町
画像左側の「○I○I」看板下のエレベーターが便利です。
セミナーは座学がメインで、スライドを眺めつつ、ずーっと話を聞きながら、たまーにテキストで補足するイメージ。
受講を申し込むと、テキストは送られてくるので、一応目は通しておいた方が講義は頭に入りやすいかと思います。特に「シナジー効果」と「メイルガードの法則」の部分は、ある程度頭に入れといた方が楽です。
そして、実地体験で結構な量のびーるを飲むことになりますので、飲む量と酔いはコントロールするよう心がけた方がいいでしょう。アルコール度数高めのものも多かったです。
なにせ、その後に筆記テストも控えていますしホドホドにね!
料理も合わせて食べるので、お昼の分量にも気をつけた方がいいかも?
がっつりカツカレー食いましたが?
今回は20名ほどの参加者でしたが、9割型の方が合格されていた印象です。
しかしながら「楽勝だぜ!」という内容でもなかったよーな?
普段あまり意識しない領域の学問なので、予習とセミナーの理解度は必要でしょうね。
この辺から入場。
会場は9階です。
さて、受講を迷っているであろう方が気になりそうであろう部分をQ&Aスタイルでお答え。
Q.受ける意味あるの?
A.これは各々の目的によると思います。
ただのびーる好きが知識欲の為だけに受講するには費用対効果的にキツいと思います。正直お高いです。会員39,000円、一般59,000円ですから。
この資格を得たことによって、ハクが付くと考えられるのであれば受ける意味はあるかと。
バッサリ言っちゃえば、広告的・自己プロデュース的に必要がなければ要らないかもしれないってとこでしょうか。
ボクみたいに趣味の延長で取っちゃうとか、知識理論のベースとして知りたい人にはアリだとは思いますが。
ちなみに資格の保持期間は2年間みたいです。(合格証より)
Q.最新の理論なの?
A.(テキストの)内容は都度刷新しているようですが、正直「なにこれ昭和?」みたいな内容的ほころびも見られました。
例えば、20年近く前から否定されている「味覚地図」の存在が明記されていたり、医学的な脳機能の話も若干甘い部分が見受けられるとか。
内容的に、初心者にも解りやすいように広く浅くなのかもしれませんが、全てを鵜呑みにするとその手の専門家のツッコミが待ってる可能性があるかもしれません。
ま、ボクもネット雑学的な知識しかないので、細かい反論・解説はできないですけどw
あと、組み合わせとして紹介されていたびーるが特殊っぽかった部分も。
例えばベルリーナヴァイセとかランビックとか。「ちょっと時代を先取りし過ぎじゃね?どこで使うの?」みたいにも思いましたし、びーる自体の個性が強い味わいのものも多く、料理よりびーるが圧勝しちゃう組み合わせも。
すなわち、マリアージュとして期待してた「1+1=3」みたいなのが無かったとは言いませんが、料理よりもびーるの個性が勝っちゃって「1+5=5」みたいに感じられた組み合わせも多かったです。
8階からスカイツリーが見えます。
ベストビューポイント。
窓に貼られた額に納めることも!
さて、まとめ。
「何も知らんよりは知ってた方がええやろ。」というのは、勉強の基礎だと思いますので受けた甲斐はあったと思います。
ただ、その理論が納得のいくものであったかは別問題。
どの部分を参考にし、どの部分を自分なりにアップデートさせるかを考えなければならないと思います。
これまでにも数々のびーるで経験してきましたが、びーるってのは、様々な条件によって味が変化する厄介なものです。
なので、料理と組み合わせても、研究室の実験のように、毎回同じ結果を得られるとも限りません。
料理と違って毎回毎回味見するのも難しいですしね。(酔っぱらっちゃったり、お客さんに出すグラスに口つける訳にもいかんでしょうし。)
ですが、最低限の方向性を方法論として持っているのは何かしらの武器になる。
ボクも今後、何かしらの経験として活かしていきたいところですね。
【公式ホームページ】日本地ビール協会
【蛇足】参加条件的に「Tシャツ、ジーンズなどはお控えください。」ってドレスコードがあったのに、会場内ホスト側にそんな格好をしてた方がチラホラいらっしゃったのはちょっとどうなの?と思いました。
個人の感想になりますが、講義の部分もどこか蔑ろとゆーか、事務的形而下なコナレタ感もありました。結構いいお値段のセミナーですし、もう少し格式みたいなものがあってもなー、なんて思ったりする訳ですが、その辺は善し悪しなのでしょうか。
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