「クラフトビールの定義」
「大手さんがクラフトビール参入!?」みたいな文字が踊り出した2014年後半あたりから改めて注目されているような気配がありますが、いい機会なので「びーるのみたい。」なりに、日本クラフトビール界のフェルマーの最終定理たるこの課題を考察してみたいと思います。(←おおげさ)
まずは定番のアレ。
そのホームページによると、Craft Beerはこのように定義されています。
Note: In February 2014, the Brewers Association Board of Directors approved changes to the craft brewer definition that go into effect with the 2014 craft brewing data set.
1 An American craft brewer is small, independent and traditional. Small: Annual production of 6 million barrels of beer or less (approximately 3 percent of U.S. annual sales). Beer production is attributed to the rules of alternating proprietorships.
Independent: Less than 25 percent of the craft brewery is owned or controlled (or equivalent economic interest) by an alcoholic beverage industry member that is not itself a craft brewer.
Traditional: A brewer that has a majority of its total beverage alcohol volume in beers whose flavor derives from traditional or innovative brewing ingredients and their fermentation. Flavored malt beverages (FMBs) are not considered beers.(「Brewers Association>BREWERS ASSOCIATION REPORTS SUSTAINED GROWTH FOR CRAFT」より。)
注:2014年2月には、取締役の酒造組合理事会が設定し2014クラフト醸造データで有効になりますクラフトビール定義の変更を承認した。
1アメリカのクラフトビールは、小さな独立した、伝統的なです。小:ビール以下(米国の年間売上高の約3パーセント)、6万バレルの年間生産。ビール生産は、交互事業主の規則に起因する。
独立:クラフト醸造所の25パーセント未満が所有またはクラフトビールではない、それ自体であるアルコール飲料業界のメンバーによって制御される(または同等の経済的利益)されている。
伝統:味の伝統的または革新的な醸造成分とその発酵から派生ビールでの総飲料アルコール体積の大部分を持って醸造。風味麦芽飲料(FMBs)はビールとは見なされません。[Google翻訳]
読むのがめんどかった人の為に簡単にまとめると、
「小規模かつ、大手の息のかかっていない醸造所で、伝統的な技法のビールを造れる能力を持っていること。」
みたいな感じでしょうか。あくまで意訳ですが。
ここで「なんだ。定義あるんじゃん。」と、お思いの方もいらっしゃるかと思いますが、文頭部分には「An American craft brewer is」と書いてあります。
「アメリカのクラフトビール(醸造家)とは」ってことです。ここ重要です。
つまり「日本のクラフトビールとは」という視点で制定されたものではないんですね。
早い話、「クラフトビールとは、アメリカのビールのことだよ。」で終わらせれば話は簡単なんですが、アメリカの言葉をどうにか日本に当てはめようとするばかりにおかしなことになっているのが現状のようです。
ちなみに日本国内でBrewers Associationのように「クラフトビール」という単語を制定・管理するような組織をボクは知りません。
国で分類してみた。
今回はこのように分けてみました。
■アメリカのビール(クラフトビール)
■ドイツのビール
■イギリスのビール
■ベルギーのビール
■日本をはじめとした、近年のクラフトビールブームに影響を受けた国々のビール
歴史的な観点から見て、ドイツ・イギリス・ベルギー、そして近年のアメリカ(クラフトビール)を大別し、その他を「近年のクラフトビールブームに影響を受けた国々」と、ひとくくりにしてみました。
これらの国々のビールも国単位で「○○国のビール」と呼ばれる事がありますが、この方が説明が楽なので。
※この画像は『ゆるびー2。(仮)』用に作成中のものです。
「ビール=ピルスナー」だった国にとっての「クラフトビールブーム」。
そのような、ある意味閉鎖的な文化の中に、アメリカのクラフトビールが輸入されたり、クラフトビールブームに影響を受けて造られたビールが登場しました。
「大手以外でもビールって造れるのか?!」
「ビールってこんなに種類があるんだ?!」
そんな風にファンに受け止められたのではないでしょうか?(少なくともボクはそんな感じでした。)
つまり、それらの国にとって、クラフトビールブームで新登場した「今までに飲んだ事の無いビール全般」が、「クラフトビール」と呼ばれているんじゃないかと思います。
また、その体験が「クラフトビールブーム」なのかもしれません。
ドイツ・イギリス・ベルギーのビールは、クラフトビールとは違うものなの?
こうなると引っかかるのが「ドイツ・イギリス・ベルギーのビールは、クラフトビールとは違うものなの?」ってこと。
いづれもクラフトビールブーム以前からビール大国としての歴史ある国々ですが、「クラフトビールとは一切関係ない。」と言い切れる訳ではないようです。
いづれもクラフトビールブーム以前からビール大国としての歴史ある国々ですが、「クラフトビールとは一切関係ない。」と言い切れる訳ではないようです。
その要素として、
■ドイツ・イギリス・ベルギーだって、クラフトビールブームに影響を受けて造られたビールもあるんじゃね?歴史書の中だけのカビ臭い存在じゃないよ?時代は常には流れているものさ。
■(主に「ビール=ピルスナー」だった国にとって)「ドイツ・イギリス・ベルギー “スタイル(レシピ)”」だろうが、クラフトビールブームの影響を受けた醸造所で造られてたら、クラフトビールじゃんよ。
…という主張があるように感じます。
……そして何故かベルギービールはたまに蚊帳の外扱いな感じがします。(今回この考察は割愛します。)
これらの国では「自国伝統のビアスタイル以外の新進気鋭のビールがクラフトビールである。」みたいな視点があるとかないとか。
この視点は「歴史・伝統」が強くない国々ではちょっと難しいですよね。
この辺がまた「クラフトビールの定義」を惑わせる要因のひとつだと思います。
結局「クラフトビール」ってなんなのさ。
【1】Brewers Associationによって定義・区分されたアメリカのビール。
【2】(主に日本を初め、クラフトビールブームに影響を受けた国々にとって)今までに飲んだ事の無いビール全般。
※大手の醸造・流通によるピルスナータイプ以外のビール全般を示す事が多い。
【3】(物体・物質に対する固有名詞ではなく)クラフトビールブームという現象・体験のこと。 また、その略称。
現状こんな感じで使われているんじゃないかとボクは捉えています。
補足と個人的な感想。
「地ビール」に関しては、「クラフトビールブーム」との関連性の話で長くなりそうなので、今回取り上げるのは避けました。
ただ、後世では「第2次 地ビールブーム(クラフトビールブーム)」みたいな形で語られていそうな気がしますし、基本的には日本における「クラフトビールの代用語」の最有力という扱いでいいと思います。
ともあれ、クラフトビールブームのお陰でびーるにハマった者としては、クラフトビールの定義とか二の次として、今後も美味しいびーるとの出逢いを楽しみたいものです。
〔おわり。〕
[2015.01.11記]
【蛇足】
このblog「びーるのみたい。」では、大手ビールも歴史的強国の古典なビールも地ビールも発泡酒もノンアルコールビールもビアカクテルももちろんクラフトビールも、ビールっぽい飲み物は全てひとくくりに「びーる」と呼んでいます。(今回は「ビール」の方が伝わるかと思ったので極力控えましたが。)
この辺の話や、説明しきれなかった「地ビール」の考察などは、ちょうど1年前のコラムでもちょろっと触れていますのでよかったらそちらもどーぞ。(読み返したら中途半端な内容でしたがw)
■「びーる」と「クラフトビール」と「地ビール」の話。〔ゆるびー。#1〕
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