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今回は2014年3月9日(日)に両国ポパイで行われたビアトークイベント『昼からビアトーク!!!』を観覧してきましたので、そのリポートをお送りします。

《第一部レポートはこちら》



今回のイベントはTHE TRANSPORTERさん主催のもので、
お客さんはビールを飲みながらビアスタイルの定義からブリュワーさんからの視点やビアパブさんの視点、インポーターさんの視点や飲み手のお客さんによる視点など沢山のビアトークを聞けます!お題はまだシークレットですが聞くほうのブリュワーさんから飲み手まで楽しめるお題を用意!それに議論する各セレクションの出演者の声が生で聞ける事、そう無いと思います!

という趣旨のもの。





日本のクラフトビール業界のトップランナー達のクロストークが聞ける、またとないイベント。

第二部のテーマは「ヨーロッパビールトーク」。

ベルギービールはクラフトビールと違うもの?

最初のテーマはズバリ「ベルギービールとは?」。
あまりに広すぎるテーマにも感じられたが、パネラーから提示された回答は「ベルギーで作っていればベルギービールでしょ?」という、シンプルすぎる大前提。


当たり前すぎる回答に、いまひとつ納得のいかない雰囲気の中、続けて代表例として語られたのは
「ベルギービールは、クラフトビールの流れに含まれていない雰囲気がある」
「ベルギービールは歴史が長く、現在のクラフトビールにはない経験に裏打ちされた発想(ボトルコンディションなど)がある。」
…という点。


パネラーの発言からは「クラフトビールという文化の流れ(日・米・伊・仏等のクラフトビールブーム)は、ベルギービールと比較すると歴史的に浅すぎる」との認識にも感じられた。
確かに歴史的にも、ベルギービール(もしくは独や英も含めた歴史的強国)の技術や知識を礎として現代のビール文化があるのは誰しもが認めるところだろう。

また「ではなぜ日本では、ベルギービールをクラフトビールとして扱わないという認識が根付いているのか?」との疑問に対しては「(日本におけるベルギービールの代表格である)ヒューガルデンの輸入元がアサヒビールだから(クラフトビールではなく大手の製品と並列に扱われている)。」といった意見も聞かれた。

余談だが、この後のトークでも「流通」は、影の主題となって進む。
ベルギービールの実力とポテンシャル。

続いてのテーマは「世界のクラフトビールのトレンドは?」というテーマだったが、「来年はコレが来る!」といった予言めいたものではなく、「ベルギービールが世界のビールトレンドに与える影響」について進言された。

代表例として語られたのが、サワーエールの存在。
現段階でのシンボリックなベルギービールとしての共通認識があるのか、パネラーの中でも注目度が高い印象。
こと近年のクラフトビールと言えば、IPAなどに注目が集まりがちな印象があるが、「ビールの評価サイトなどでもベルギーのサワーエールは評価が高い。」など、実力での裏付けも披露された。

また、「トレンドはある程度予測できるが、輸入元や消費者など、立場の違いによって違いがあり難しい」としながらも、「拡大しているマーケットは軽い(飲みやすい)ビール(セッションやサワーなど)ではないか?」との予見も示された。

近年のベルギービール業界も他国と同じように、製法やイマジネーションが進化を続け、いわゆるビアスタイルから外れた製品(クラフトビールと呼ばれて差し支えのない製品)も続々と生産されており「ベルギービールはクラフトビール以外の何か」として捉われがちな現状に疑問符が投げかけられた。

ビールの輸入方法と劣化。

続いて「ビールの輸入方法と劣化」というテーマ。

まず、輸入の手順をざっくり解説すると、

1.)直接ブルワリーや現地の買い付け業者の方と交渉・買い付け

2.)リーファーコンテナ(温度管理のできる専用コンテナ)の手配・運搬

3.)国内搬送

4.)店頭販売

となるらしい。

買い付けに関しては、醸造所から直接買い取りを行ったり、代理人を通したりとその方法は企業によって様々。
しかし「人間同士のやりとりなので…」という部分も大きいらしく、まずは人間関係が重要であるとのこと。

そして、ビールが劣化する(味が変わる)原因として、「温度」「振動」「光(日光)」「酸化」「(運搬)時間」などの要素が指摘された。


船でのコンテナ輸送の話では、
「(輸送日程は)景気のいい時は28日の直行便があったが、不景気時にはトランジット込みの45日に。もっと早い会社を探して今は35日とかですかねー?」 
「会場のみなさんには信じられないかもしれませんが、今でも海賊とかフツーにいるんですよ(苦笑)」
「リーマンショックなど経済的な理由もあり、コスト対策の為、波に任せて進むので日程があやふやになる」
という裏話も。


また、船舶での運搬時よりも国内流通での品質劣化が最大の課題とする見方もあるようで、問屋さん・酒販店さんの「品質・温度管理がこれまでの認識のままでは安心して任せられない」といった趣旨のお話も聞かれました。(具体的には、運搬時間の対応、常温で取り扱わない…など。)





《第三部/第四部レポートにつづく》

※当記事は当日のトークを元に、筆者独自の解釈を加え再構築・意訳した実質フィクションです。




【蛇足・雑感】
■ボクなんかは「ベルギービール」と聞くと「過去の歴史の一部」「伝統芸能的なもの」みたいな認識を持って尻込みしている部分がありましたが、「ビールの本流であり、クラフトビールこそ枝葉(若葉)」という視点に立つと、納得できる部分が多い様にも感じます。ベルギービールの中にもアメリカンIPAのような「クラフトビール然としたもの」も存在していますし、認識を変え、ベルギービールに接してみる必要があると反省しました。
■最近、別の機会でも「国内の流通問題」についてお話を伺うことがあり、ボクとしてはタイムリーなテーマでした。(この日の隣に座られていた紳士も流通関係のかたでしたし。)これまで(今でも)国内の問屋さん・酒販店さんは、ビールを常温…ヘタすれば真夏の直射日光下でも平気で扱っているらしいです。これは当然劣化の要因なのですが、これまでの慣習的に「ビールは温度管理して扱うもの」という意識が壊滅的に欠損している可能性があるらしいです。(個人的にも店頭で常温・野ざらしになってるイメージもまだあります。)やはり、そーいった部分も改革して行かなければクラフトビールが日常的に広まることは難しいと思いますし、もし改善されれば爆発的にクラフトビールが普及する追い風となるでしょう。消費者としても単純に品質は気になりますし「これって鮮度だいじょぶ?」程度は売り場への意見を伝えるくらいの活動はできるかもしれません。推奨は一切しませんがw流通うんぬんの前に消費者の意識改革も必要なのかもしれませんね。(クレーマーにならない程度に。)
■トレンドに関しては「売りたいビール」と「消費者が求めるビール」のギャップを感じているようで、宣伝・メディア等による印象操作が難しい現状があるのも見え隠れしているようでした。やはり大手と比較すると宣伝広告能力もですが、生産量や流通ルートなどのパイプの太さに差があるように感じました。これもまた、歴史と実績の積み重ねでしょうし、コツコツやっていくしかない部分なのでしょう。

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